流通加工事業は、浜値の維持安定を目的とした事業の展開を行っています。
本会は魚市場を有していませんが、1977年より県内で漁獲される多獲性魚種を中心に、鮮魚・塩干品・餌料(加工用イカナゴ)の取扱を開始しました。その後、試験的な取り組みとして地元の生協や農協への鮮魚宅配や店舗への鮮魚供給などを行い、徐々に販売体制を確立していきました。特に1985年頃からイカナゴのくぎ煮づくりが阪神、明石地域の主婦層に盛んになりつつあったことから、飼料用・加工用以外に家庭用くぎ煮材料の鮮魚流通を手掛け、現在でも直販事業の大きな柱となっています。
1991年頃から「多獲性魚種の加工」を求める浜の声が高まり、翌年にのり流通センター内の倉庫を改装して、マダコ、タチウオの切身加工が始まりました。1994年には播磨町漁協の施設を借り受けて設備の充実を図り「塩もみダコの真空パック」、翌年には「明石ダコの花しゃぶ」、「イカナゴのくぎ煮」、「明石ダコのから揚げ」を開発、1998年には「明石ダコのやわらか煮」を発売、この年の加工品販売高は4億円を超えました。
播磨町の加工場が手狭になってきたことや、安心・安全な食品を求める消費者の声が高まっていたこと等から、新しい加工場建設に向けた検討が開始され、2001年3月に姫路市妻鹿漁港に、マイナス196℃の窒素凍結設備を備えHACCPに準じる衛生対応型の「水産加工センター」を設置しました。
水産加工センターは、浜値の維持安定を目指して取り組んできたマダコやイカナゴの加工事業を本格化し、これまで取り組めなかったカキ、マダイ、クロダイ、ワカメ、ハタハタ、ホタルイカ等の多獲性魚種も幅広く加工できるようにしています。
2020年9月期には、加工品販売高は11億6千万円を超えました。
近年は、原料の水揚げが非常に不安定なこともあり、毎年商品の規格を変えながら商品を製造している状況です。しかしながら、原料が少なくなったことで主要魚種以外にもこれまで取り組めていなかった「カキ、マダイ、クロダイ、スズキ、ヒイカ、ワカメ、ハタハタ、ホタルイカ」等、県内で水揚げされる魚種を幅広く加工するようになり、商品ラインナップの増加、加工技術の向上に繋がっております。
また、のり加工センターの新設により、「兵庫のり」を加工して直接販売を行うことで販路拡大に努めております。
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